「信州ブランドアワード2010」選考結果

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今回の選考では先ず公募と推薦で集まった28のブランドをノミネート委員会で選考審議し、11の候補に絞り込みました。それらにノミネートの受け入れを問い合せたところ、内5つからは承諾が得られませんでした。依ってそれらを除く「ホテルグランフェニックス奥志賀」「遠藤酒造場」「飯山仏壇」「松本山雅フットボールクラブ」「ナガブロ」「高遠城址公園さくら祭り」の6ブランド(順不同)を最終選考に諮り、入選が決定しました。その中から、総合的に最も評価の高い1点を「大賞」、特定の指標で評価が高く大賞に準ずる若干点を「特別賞」、そして選考全体を見渡して特に地域が一体となって取り組み社会公益性の高い1点を、「長野県知事賞」とする各賞選考を行いました。



栄えある「大賞」に選ばれたのは、「松本山雅フットボールクラブ」でした。これは、1965年当時の長野県選抜選手を中心に結成されたサッカーチームに端を発します。2004年からNPO法人アルウィンスポーツプロジェクトを運営母体とするクラブ組織確立を掲げ、Jリーグ入りを目指し再出発します。2009年松本市のホームスタジアム「アルウィン」に集まった1万人余りのサポーターの前で悲願だったJFL昇格を果たし、更にJ1屈指の強豪〝浦和レッズ〟に勝利するという快挙を成し遂げます。県下唯一のJリーグ準加盟クラブとして、応援してくれるサポーター、スポンサー、地域住民等と地元密着でJリーグ昇格を目指す「志向性」や「地域性」、コーポレートカラーの緑を基調にしたデザインでユニフォームやTシャツ、タオルマフラー等のグッズを統一的に展開し、一体感を演出している「表現性」、地元のメディアやホームページを核に、積極的な露出を行う「情報伝達性」等で、総合的に最も高い評価になりました。

「特別賞」には「遠藤酒造場」「飯山仏壇」の2つが選ばれました。
「遠藤酒造場」は創業が1864年(元治元年)で、現在6代目が引き継ぐ須坂の日本酒の蔵元です。須坂藩主御用達の酒を基に現在に合った味を目指し、20年前より「渓流」というブランドを立ち上げました。これが多くのファンを生み出し、通販名簿で3万人余りを数え、蔵祭りには約1.8万人が訪れる等、県内外に支持を広げています。ブログやツイッターも含めて様々な情報ツールを用い効果的な発信を積極的に行っている「情報発信性」、周囲の蔵の町並みと一体になり、「花もだんごも蔵開き」といったイベントを行う「地域性」、海外コンクールにも出品して受賞し、長期視点からブランド価値を高めようとする「継続発展性」等が評価されました。
「飯山仏壇」は、江戸時代に本多氏の城下町で仏教信仰が厚かった飯山で育まれた地場産業で、300年余りの歴史があります。昭和50年に飯山仏壇事業協同組合が当時の通産大臣より伝統的工芸品の指定を受け、伝承された技術を守りながらも現代の生活に合った仏壇の開発にも挑戦しています。仏壇には木工だけでなく、漆塗りや彫刻、彫金、蒔絵に金箔押し等多くの技術・技法が用いられますが、飯山ではそれらが全て工芸士の手作業によって行われており、その集大成が荘厳にして華麗な仏壇になります。その伝統を大切にして丁寧な手作業を守ろうとする「志向性」、寺の町とも言われる飯山で軒を連ねて仏壇街を形成し、寺巡りの観光客を迎える「地域性」等に評価が集まりました。

そして「長野県知事賞」には、「高遠城址公園さくら祭り」が選ばれました。これは、明治初期に廃藩置県で荒地になっていた高遠城址を見かねた旧藩士達が、桜を植樹し公園として整備したことから始まりです。現在公園内には約1,500本余りの「タカトオコヒガンザクラ」が植えられ、その可憐さは「天下第一の桜」とも称されて長野県の天然記念物にも指定されています。当初植樹をした旧藩士達の志を受け継ぎ、その美しさを維持して全国屈指の桜の名所と名をはせている「志向性」、公園や桜の木を地域が固有の資源として尊び、力を合わせて保守・管理している「地域性」、毎年花見の時期には、30万人を超える来場者を集め続けている「継続発展性」等、地域ぐるみの取り組みでブランド価値を維持していることが高い評価になりました。

全体としては、今回で7回目の選考になりますが、これまで都度諸々の小変更はあったものの基本は変わらずにここまで持続できた例は全国的にもあまりなく、素晴らしいと思います。このアワードを以降も継続して行くことは長野県の産業振興にとっても意義深いことですが、いつも客観的な視点で見直して改善しながら進めることも肝要と思います。その点8回目以降の発展的な開催を見据え、そろそろ関係者で基本的な議論をしてみる時期に来ているとも思います。

また今回は、ノミネートの承諾の問い合せに対して辞退や返答無しがかつて無く多かったのが大変残念です。各々理由はあるでしょうが、総じてこのアワードの意義や共益性を認知していない、あるいは理解できていないといったことが大きいと拝察します。それを知って尚受け入れられないならば止むを得ないとも思いますが、知らずに受け入れられないのは大変もったいないので、以降のノミネートに際しては、並行してそこをどう説明するかが懸案に浮上して来たと思います。

何れにしても、かつては経済発展の常道であった量産・薄利多売を担う役割は既に海外に移っており、長野県でも他にはない付加価値の高いものをつくって売って行くことに、もっと注力しなければならない現実に向き合わなければなりません。その点このアワードはその方向性を素直に示しており、先見性があると思います。是非今後も県下の産・学・官が発展的に継続し、内容を全国、そして海外にも積極的に発信するように繋げて行きたいと思います。
最後に、本アワードは関係者のボランティアによって支えられて成り立っています。今回も「地元のデザインを活かした信州発のブランドづくり」に想いを寄せ、献身的にご尽力いただいた皆様に改めて心より感謝申し上げます。

2010年9月22日

■[信州ブランドアワード選考委員]順不同・敬称略
信州ブランドフォーラム開催実行委員長 深沢 賢一郎 ※委員長
(社)長野県経営者協会 専務理事 関 安雄
長野県企画部 企画課長 島田 伸之
長野県観光部 観光企画課長 長谷川 浩
長野県地域資源製品開発支援センター 総合プロデューサー 鈴木 進
法政大学大学院政策創造研究科 教授 中嶋 聞多
(財)長野経済研究所 調査部長 小澤 吉則
長野県デザイン振興協会 常任理事 土屋 修三
■[信州ブランドアワードノミネート委員]順不同・敬称略
ノード・サイン 代表 中村 節 ※委員長
長野県企画部企画課 早川 恵利
長野県地域資源製品開発支援センター 小林 耕治
(株)ながのアド・ビューロ 業務推進局CD部長 戸谷 英俊
(株)電弘 企画開発局長 早川 一夫
(株)インテージ長野 取締役 竹村 博
スマート商品企画室 代表 佐藤 泰仁
カシヨ(株)企画開発部 塚田 文武
特定非営利法人SCOP 北村 大治
長野県デザイン振興協会 事務局長 五味 英紀

デジタルコンテンツ制作・企画など。

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