「信州ブランドアワード2008」選考結果

sba2008

このアワードは、信州の豊かな地域資源を活かし、独自性と優位性を発揮し、信州全体の信頼度や好感度を高め、県民の誇りともなるような「優れたブランド」を選考・表彰するものです。
2004年のスタートから、本年で節目となる5回目の開催となりました。当初はこのアワードについて、理解が得られない面も少なからずありました。しかしそこから現在迄に、地方の再生・自立がこれまでになく提唱され、地方主体でブランドづくりを行うことが重要との見識が、全国に急速に広がりました。このアワードはそのような情勢とも重なり、県下のブランドづくりの拠り所的な色彩を強め、注目度も徐々に高まって参りました。

既にご承知の方も多いと思いますが、このアワードは、

  1. 「第一次」「第二次」「第三次」といった産業分野、「商品やサービス」「事業」「企業や組織」「地域」といったブランドの階層、これらを一括して選考対象とする
  2. 「志向性」「表現性」「情報伝達性」「地域性」「継続/発展性」という5つの独自指標で選考する

の2点を特徴としています。
これは言い変えると、信州の地域資源を活かし、顧客本位の商品やサービスをつくり、自ら旗印を掲げ、自立的に提供する事業及び事業主体を、信州発の優れたブランドとして選考・表彰するということです。



今年度の選考は、まず本アワードのノミネート委員会で、推薦による33点と公募による16点の計49点から12点のノミネート候補を選び出しました。最終選考会でこれらを1点づつ審議した結果、この12点を今年度の「ノミネートブランド(入選)」とすることに決定しました。

続いてその中から、総合的に最も優れたものを「大賞」、特定の指標で優れたものを「特別賞」とする各賞選考を行いました。

栄えある「大賞」に選ばれたのは、信州の夏を彩る全国屈指の花火大会として名高い「諏訪湖の花火」でした。これは、昭和24年(1949年)終戦の混乱の中で、早期の復興を願って8月15日に「納涼諏訪湖花火大会」を開催しことに始まります。その後人々を魅了し感動させながら発展し、「夏の諏訪湖=花火」というイメージを広げて来ました。今年60回目を迎えるに至り人出も50万人に迫るような、正に信州を代表する大きな観光イベントとなりました。湖畔の温泉旅館街、周囲を山に囲まれた音響効果、湖面に映える花火の華麗さ等、諏訪ならではのロケーションを活かした「志向性」、マスメディアに記事として露出し、近年はWeb.サイトを通年運営してクチコミを含めた積極的なPRも行っている「情報伝達性」、観光案内のボランティアや、公式花火グッズ・土産品の開発等市民も主体的に参加する「地域性」、花火見物を楽しんでいただけるよう大会運営に細心の注意を払う「継続/発展性」等が、バランス良く高い評価となりました。

そして「特別賞」には、「OGASAKA SKI」、「FUJIGEN」、「熟年体育大学」、「SAWAYA(沢屋)」の4つのブランド(順不同)が選ばれました。

「OGASAKA SKI」は、明治44年オーストリアのエドレル・フォン・レルヒ少佐が初めて日本にスキーを紹介した翌年に飯山市で創業、今年で96年目を迎える国産スキーの先駆け的なブランドです。県下を拠点にスキー・スノーボードの製造・販売で長年地域の産業振興に貢献し、「品質優先」「性能第一主義」に徹したモノづくりは、トップアスリートから一般スキーヤーにまで広く支持を集めています。そのような「地域性」や「志向性」が評価されました。

「FUJIGEN」は、フジゲン(株)が製造・販売するエレキギターのブランドです。信州は知る人ぞ知る世界的ギター産地ですが、同社は1960年に松本市で創業以来、高度な熟練技術を活かして品質の高いギターを提供して来たその代表格です。国内のトップメーカーとして内外のプロ・アマミュージシャンに名を轟かせていますが、特に自社のブランド力を高めるため、「FUJIGEN」の名を冠して商品を提供するようになりました。各種媒体での情報発信や、Webサイトによるオーダーメイドデザインの受注等も前向きに行われるようになり、その「志向性」や「情報伝達性」に、期待と共に評価が集りました。

「熟年体育大学は、信州大学医学部による長年の基礎研究から生まれた「インターバル速歩」を、普及・浸透させようとするプロジェクトです。独自に開発したプログラムおよび計測装置・ソフトを活用し、中高年者の健康増進や地域コミュニティ形成の推進に役立てようと産学官民が共同で推進しています。それは「熟大」として親しまれ、県内外の自治体等にも採用が広がり、長寿県信州のイメージを高めるブランドとして知られるようになりました。そのような「志向性」「地域性」「継続/発展性」が評価されました。

「SAWAYA(沢屋)」は、軽井沢でジャム等の加工食品を製造・販売する企業として名を馳せるブランドです。1952年に旧軽井沢の青果店「沢屋ストアー」として創業、以来主に舌の肥えた別荘客を対象に、国産の旬の原材料にこだわった食材を提供して来ました。1970年代にジャムを「沢屋ストアー」のプライベートブランドで発売するようになり、添加物や冷凍・加工原料を一切使わず、国産原料を新鮮な旬の時に加工する製法に徹し、現在約50種類に及ぶ無添加ジャムの品揃えを有するようになりました。その一貫して高品質なジャム作りを行う「志向性」「継続/発展性」が高く評価されました。

全体の評価では従来とほぼ同様に、「志向性」と「地域性」が高く、「表現性」と「情報伝達性」が低い傾向があります。そこには独自ブランドを目指す県下の事業者が、社会に役立とうとする想いや地域特性を活かして商品やサービスをつくることには長けていますが、相応に「他との違い」や「自らの優位性」を顧客に表現したり伝えたりするのは苦手、「つくり上手で売り下手」とも言える状況が見て取れます。
昨年長野県が「産業振興戦略プラン」で掲げた「メイド・イン・NAGANIOを世界へ」という方向性を実現するには、従来のようにつくることに偏重することなく、売ることもしっかり見据えたバランスの良いマーケティングが必要です。それには、表現したり伝えたりするデザインのような専門性をもっと積極的に取り込み、地域ぐるみで「つくり上手で売り上手」になるようなブランドづくりの仕組みを早急に整え、機能させて行くことが望まれます。

「中央」対「地方」、または「大企業」対「中小企業」といった格差の構図が浮き彫りなり、県下の産業も長期低迷の只中で閉塞感が一層強まっています。今後そこから脱却するには、地方が独自に付加価値を生み出し、ブランド力を高めて行くことができるか否かが鍵となることは言うまでもありません。これからは、そのような自立性を持つ地方が発展し、そうでない地方は衰退する、そんな新しい地方間格差の構図が生まれつつあります。このアワードが、県下の産業がそのように変革を遂げて行く一助になれば大変幸いです。
改めてここまで5回の選考を振り返ると、信州の付加価値を担っているという点で何れも違わぬブランドが並び、これからそのような方向を目指して行く上では、具体的な目標として身近に輝く星のような存在が揃っています。選考委員の中からは、「このアワードも、信州のブランドづくりも、いよいよ正念場に差し掛かっている」といった意見もありました。是非ここに選考された先達に追い付き追い越すような取り組みが、県下に根を張り広がること期待したいと思います。

そして、ノミネートの作業等を行いこのアワードを支えてくれているのは、独創的で自立的な信州の産業振興に熱い想いを寄せる企業ボランティアの皆様です。この場を借りてその献身的なご尽力に、深く深く感謝を申し上げます。

2008年9月16日

信州ブランドアワード選考委員順不同・敬称略
信州ブランドフォーラム開催実行委員長 深沢 賢一郎(選考委員長)
国立大学法人信州大学学長補佐・地域貢献担当 中嶋 聞多
長野県企画部企画課課長 島田 伸之
長野県地域資源製品開発支援センター総合プロデューサー 鈴木 進
(社)長野県経営者協会 専務理事 関 安雄
(財)長野経済研究所 調査部長 平尾 勇
長野県デザイン振興協会 常任理事 土屋 修三

デジタルコンテンツ制作・企画など。

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